未成年者控除 ~相続税の基礎控除③~

相続人が未成年者の場合には、相続税額から一定の金額を控除出来る「未成年者控除」という制度があります。ここでは、「未成年者控除」を使うための適用要件や控除額の具体的な計算方法についてわかりやすく解説していきます。

 

 

1. 制度の趣旨

 

相続人が未成年者であっても、年齢に関わらず相続税は課税されます。そこで、未成年の相続人が成人になるまでの養育費や教育費の負担を考慮し、相続税を軽減する措置が講じられています。

 

 

2. 適用要件

 

未成年者控除の適用を受けるためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

 

①相続又は遺贈により財産を取得した者であること

未成年者であっても財産を取得していない場合には、未成年者控除の適用を受けることは出来ませんので注意が必要です。

 

②財産を取得したときに20歳未満であること

未成年の定義は20歳未満であることです。既に結婚していても20歳未満であれば未成年者控除の適用を受けることが出来ます。

 

③財産を取得した未成年者が法定相続人であること

遺贈により財産を取得した者であっても、法定相続人でなければ未成年者控除の適用を受けることは出来ませんので注意が必要です。

(法定相続人について詳しく知りたい方は「法定相続人とは?」をご参照下さい。)

 

④財産を取得したときに日本国内に住所があること

ただし、相続人が一時居住者であり、被相続人も一時居住者又は非居住者の場合には、未成年者控除の適用を受けることは出来ません。

また、国内に住所がない場合でも、一定の例外が設けられています。

 

 

3. 控除額の計算方法

 

未成年者控除の控除額は以下の計算式により算出します。

 

件を満たす必要があります。

 

20歳-相続時の年齢)×10万円

 

相続時の年齢については、1年未満の端数は切り捨てとなります。

 

具体的な計算例を見てみましょう。

 

(計算例)

・相続時の年齢12歳4ヶ月
・相続税額200万円

 

①未成年者控除額(20歳-12歳)×10万円=80万円
②納付税額200万円-80万円=120万円

 

 

4. 控除額が余った場合

 

もしも、控除額が相続税額より大きかった場合にはどうなるのでしょうか。

 

余った控除額は、扶養義務者である他の相続人の税額から控除することが出来ます。

ここでいう扶養義務者とは、「配偶者、直系血族(父母や祖父母)及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者」を指します。

なお、それでも余った場合には次の相続へ持ち越すことも出来ます。

 

引き続き具体的な計算例で見ていきましょう。

 

(計算例)

・相続人長男(25歳)、二男(12歳)
・相続税額それぞれ50万円

 

①未成年者控除額(20歳-12歳)×10万円=80万円
②納付税額二男 50万円-80万円=▲30万円(余り)
長男 50万円-30万円(余り分)=20万円

 

 

5. その他の税額控除

 

いかがでしたか。

ここでは「未成年者控除」の適用要件や具体的な計算方法について解説してきました。

相続税には7種類の税額控除が設けられていますので、「未成年者控除」以外の税額控除についても詳しく知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

 

「贈与税額控除 ~相続税の税額控除①」

「配偶者控除 ~相続税の基礎控除②」

「障害者控除 ~相続税の基礎控除④」

「相次相続控除 ~相続税の基礎控除⑤」

「外国税額控除 ~相続税の基礎控除⑥」

「相続時精算課税に係る贈与税額控除 ~相続税の基礎控除⑦」

 

(2021年4月26日更新)

 

 

 

 

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