相続税の計算方法 ~わかりやすく解説します~

「相続税の計算は複雑で難しそう・・・」

 

そんなイメージはありませんか?

確かに土地などの財産評価には難しい部分もありますが、税額の計算自体はそれほど難しいものではありません。

ここでは、ご自身で相続税の申告をされたい方や相続対策を検討する上で概算額を知りたい方などが、相続税の税額をしっかりと計算出来るようにわかりやすく解説していきます。

 

 

1. 相続税の計算手順

 

まずは相続税の計算方法の全体像をしっかりと把握しましょう。

相続税の計算手順は下記の通り、大きく4ステップとなっています。

 

【相続税の計算手順】

STEP.1  相続財産の総額(正味の遺産額)の計算

STEP.2  課税遺産総額の計算(納税義務の判定)

STEP.3  相続税の総額の計算

STEP.4  相続人ごとの納付税額の計算

 

 

2. 相続財産の総額(正味の遺産額)の計算

 

相続財産の総額(正味の遺産額)は以下の計算式により算出します。

 

(①相続財産-②非課税財産+③相続時精算課税にかかる贈与財産)-④債務及び葬式費用+⑤相続開始3年以内の贈与

 

それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

 

2-1. 相続財産

相続財産とは、預貯金・不動産・有価証券・自動車など、被相続人(亡くなられた方)が有していた全てのプラスの財産のことをいいます。また、民法上の相続財産ではありませんが、生命保険金及び死亡退職金等は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりますので、相続財産に含めることを忘れないよう注意が必要です。ただし、生命保険金及び死亡退職金等については一定の非課税枠が設けられています。

(相続財産について詳しく知りたい方は「相続税の課税対象~相続税のかかる財産は?~」をご参照下さい。)

 

 

2-2. 非課税財産

墓地や仏壇、祭具などは非課税財産となっており、相続税が課税されることはありません。また、生命保険金や死亡退職金のうち一定の金額や国などへ寄付した財産についても同様に非課税となります。

(非課税財産について詳しく知りたい方は「非課税財産~相続税のかからない財産は?~」をご参照下さい。)

 

 

2-3. 相続時精算課税にかかる贈与財産

相続時精算課税制度を利用している場合、贈与の行われた時期に関わらず、全ての贈与された財産を相続財産に含めて相続税が計算されます。

なお、支払った贈与税額がある場合には「相続時精算課税に係る贈与税額控除」として相続税から控除されます。

(相続時精算課税制度について詳しく知りたい方は「相続時精算課税制度とは? ~わかりやすく解説します~」をご参照下さい。)

 

 

2-4. 債務及び葬式費用

債務とは、被相続人(亡くなられた方)が抱えていた借金や、亡くなった後に支払うこととなる所得税・固定資産税といった税金や医療費などの費用のことです。これらの債務は葬式費用とあわせて相続財産等の合計額から差し引かれます。

(葬式費用の範囲など詳しく知りたい方は「葬式費用の範囲 ~相続財産から控除出来るものは?~」についてご参照下さい。)

 

なお、借金が多額であり相続財産よりも多い場合には相続放棄の検討もあり得ます。

(相続放棄について詳しく知りたい方は「相続放棄」をご参照下さい。)

 

 

2-5. 相続開始前3年以内の贈与

生前贈与された財産のうち相続開始前3年以内に行われたものについては、生前贈与はなかったものとして相続財産に含めて相続税が計算されます。

(詳しくは「生前贈与加算 ~相続開始前3年以内の贈与~」をご参照下さい。)

 

なお、支払った贈与税がある場合には「贈与税額控除」として相続税から控除されますのでご安心下さい。

(詳しくは「贈与税額控除 ~相続税の税額控除①~」をご参照下さい。)

 

 

3. 課税遺産総額の計算(納税義務の判定)

 

相続税は、相続財産のうち基礎控除額を超える部分に対してかかる税金です。

ここまでで算出した相続財産の総額(正味の遺産額)から、基礎控除額を差し引いた金額を「課税遺産総額」といい、この「課税遺産総額」が相続税の課税対象となる金額です。

 

相続税の計算において、基礎控除は非常に重要ですので、しっかりと計算できるようになりましょう。

 

 

3-1. 基礎控除額の計算

基礎控除額は以下の計算式により算出します。

 

3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

実際に相続した人の数ではなく、「法定相続人の数」であることに注意が必要です。

また、養子が複数人いる場合には一定数に制限もされます。

(詳しくは「法定相続人とは?」をご参照下さい。)

 

 

3-2. 納税義務の判定

繰り返しとなりますが、相続税は、相続財産のうち基礎控除額を超える部分に対してかかる税金です。そのため、相続財産の総額(正味の遺産額)が基礎控除額を下回る場合には、相続税は課税されませんので、相続税の申告も当然不要となります。

 

具体的な計算例及び納税義務の判定を見てみましょう。

 

(計算例)

・法定相続人母、長男、二男
・正味の遺産額1億円

 

①基礎控除額3,000万円+600万円×3人=4,800万円
②納税義務の判定正味の遺産額(1億円)>基礎控除額(4,800万円)⇒“納税義務あり”

 

 

4. 相続税の総額の計算

 

“納税義務あり”となった場合には、実際に税額の計算へ移っていきます。

まずは、課税遺産総額を法定相続分で按分し、按分額に税率を乗じて算出した税額を合算することで「相続税の総額」を求めていきます。

 

 

4-1. 法定相続分に応じた取得金額の計算

ここでは各相続人が、法定相続分のとおりに相続したと仮定して、それぞれの取得金額を計算します。実際の取得割合ではないことにご注意下さい。

(法定相続分について詳しく知りたい方は「法定相続人とは?」をご参照下さい。)

 

 

4-2. 法定相続分に応じた相続税額の計算

法定相続分に応じた取得金額が算出できたら、取得金額に応じた相続税額を計算します。

相続税の税率と控除額は下記の速算表の通りです。

 

相続税の税率(速算表)

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超 ~ 3,000万円以下15%50万円
3,000万円超 ~ 5,000万円以下20%200万円
5,000万円超 ~ 1億円以下30%700万円
1億円超 ~ 2億円以下40%1,700万円
2億円超 ~ 3億円以下45%2,700万円
3億円超 ~ 6億円以下50%4,200万円
6億円超 ~55%7,200万円

 

具体的な計算例を見てみましょう。

 

(計算例)

・被相続人(亡くなった方)
・相続人母、長男、二男
・正味の遺産額1億円

 

①課税遺産総額正味の遺産額1億円-基礎控除額4,800万円(3,000万円+600万円×3人)=5,200万円
②法定相続分に応じた取得金額母  5,200万円×1/2=2,600万円
長男 5,200万円×1/4=1,300万円
二男 5,200万円×1/4=1,300万円
③取得金額(法定相続分)に応じた相続税額母  2,600万円×税率15%-控除額50万円=340万円
長男 1,300万円×税率15%-控除額50万円=145万円
二男 1,300万円×税率15%-控除額50万円=145万円
④相続税の総額340万円+145万円+145万円=630万円

 

 

5. 相続人ごとの納付税額の計算

 

5-1. 実際の取得割合に応じた相続税額の計算

相続税の総額が算出できたら、各相続人の実際の取得割合に応じて按分します。

引き続き具体的な計算例を見てみましょう。

 

(計算例)

・被相続人(亡くなった方)
・相続人母、長男、二男
・正味の遺産額1億円
・実際の取得割合母5,000万円、長男3,000万円、二男2,000万円

 

⑤実際の取得割合に応じた相続税額母  630万円×5,000万円/1億円=315万円
長男 630万円×3,000万円/1億円=189万円
二男 630万円×2,000万円/1億円=126万円

 

 

5-2. 相続税の2割加算

相続人が、

 

  • 配偶者
  • 子(孫養子以外の養子を含む)
  • 代襲相続人である孫

 

以外の場合には、上記で算出した相続税額に2割を加算しないといけません。

 

(計算例)

上記の計算例で、二男が仮に孫養子だった場合

・上記の計算例で、二男が仮に孫養子だった場合

 

⑥2割加算二男(孫養子) 126万円×1.2=151.2万円

 

 

5-3. 税額控除

相続税の税額控除とは、一定の要件を充たす相続人について相続税額から一定の金額を控除出来る制度のことです。

ここまでのステップで算出した各相続人の相続税額から税額控除を行うことで、最終的な納付税額が確定します。

 

税額控除の概要は以下の通りとなります。

 

名称内容
贈与税額控除

生前贈与加算の対象となる財産がある場合

その財産について納めた贈与税額が控除されます。

(詳しくは「贈与税額控除」をご参照下さい。)

配偶者控除

配偶者が相続した財産の価額が1億6,000万円又は法定相続分以下の場合には相続税がかかりません。

(詳しくは「配偶者控除」をご参照下さい。)

未成年者控除

相続人が未成年者の場合

「(20歳-相続時の年齢)×10万円」が控除されます。

(詳しくは「未成年者控除」をご参照下さい。)

障害者控除

相続人が障害者の場合

「(85歳-相続時の年齢」×10万円(特別障害者の場合には20万円))が控除されます。

(詳しくは「障害者控除」をご参照下さい。)

相次相続控除

10年以内に相次相続が発生した場合

一次相続で納めた相続税額の一部が控除されます。

(詳しくは「相次相続控除」をご参照下さい。)

相次相続控除

外国にある財産を相続し、相続税に相当する税金を納めた場合

一定の金額が控除されます。

(詳しくは「外国税額控除」をご参照下さい。)

相続時精算課税に係る
贈与税額控除

相続時精算課税制度を利用していた場合

相続時精算課税に係る贈与税額が控除されます。

(詳しくは「相続時精算課税」をご参照下さい。)

 

 

6. まとめ

 

いかがでしたか。

ここでは相続税の計算方法を解説してきました。

 

実際の相続税の申告手続きでは、不動産・株式等の財産評価や各種特例の適用判断など踏まえて税額の計算を行うこととなります。

 

相続財産が少額の場合や、預貯金のみといった場合には、ご自身で申告手続きをなされても問題が生じる可能性は低いでしょう。

では、相続財産が多額の場合や、不動産・非上場株式等が含まれる場合はどうでしょうか。

財産の過大評価や特例の適用漏れにより税金を払い過ぎてしまったり、逆に過少評価や誤った特例の適用により本来払うべき税額に不足した結果、後の税務調査で追徴課税を受けるリスクも考えられます。

財産評価や各種特例の適用判断は、高い専門知識が求められることも多いため、専門の税理士に依頼されることをおすすめ致します。

 

(2021年4月26日更新)

 

 

 

 

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